アバディーン珍道中記 2003年 8月3日(日)

 昨日、寝るのが遅かったので朝食時に起きれるか心配だったが、いつもの時間に朝食をとることが出来た。ケン爺は昨日、タイレストランで飲みすぎて、今日は二日酔いらしい。お陰で、昨夜は照明どころではなかったのだろう。

 12:00 レモンツリーのサンデー・ランチ・ライブに出かける。ビールとサラダを注文したが、ウエイターはビールは駄目だと言う。理由を尋ねると早口でよく解らない。ライセンスがどうのこうのと言っているようだ。コーラを注文した。ところが後から入ってきた客はビールを呑んでいる。何故、私だけいけないのか?日本で禁酒していたのを知っているのか?

若い女性が同席を求めてきた。見知らぬ東洋人の旅行者に同席を求めるとは、不思議な女性だと思っていると、後から男がドリンクを2つ持ってやってきた。二人にジャズは好きかと尋ねると、ブルースのほうが好きだそうだ。ジャズでは誰が好きかと尋ねると、マイルスだという。ビールの件を質問すると、「よく解らないが、アルコールはカウンターで買わなければならないのではないか?」と言う。2人は2曲だけ聞いて、どこかへ行ってしまった。

Norman Moy Quartet

 Norman Moy Quartetというのが、今日のミュージシャンだ(↑photo)。ノーマン・モイというテナーは、スコット・ハミルトンをお爺ちゃんにしたような人だ。このお爺ちゃんは、なかなかやる。百戦錬磨のいぶし銀と言った感じで、今回の旅行で一番の収穫だ。なかでも、ジャイアント・ステップスをラテンでやったのには驚いた。お爺ちゃん曰く、「ジャイアント・ステップス・ア・ラ・ラテン」。常連と思われるお年寄りの人達が私の周りの良い席を占めている。

 昨夜立見席だった所が、ほぼ満席だ。ピアノはもっとガンガン弾いて欲しい。それでもこのお爺ちゃんもノリノリで、楽しんでいるようだった。折角のアコースティック・ピアノがエフェクターのかけ過ぎでエレピのような音だったのは残念だ。ドラムのお爺ちゃんも気に入った。変幻自在で何でも来いと言う感じである。ベースは先週のお口もモグモグのおじいちゃんがいたので、又この人かと思ったら50歳ぐらいの別の人だった。この人は力強くてよかったが、譜面を睨みっぱなしなのが気になる。

 Norman Moy Quartetをたっぷり楽しんで、勘定の時、もう一度ウエイトレスにビールの件を尋ねると、12:30からでないと駄目だと言う。

 骸骨人形の店に行ったら、閉まっていた。どうしても、あの骸骨達に未練がある。別の店で、鉄で出来たドラゴンがベースを弾いている人形を見つけた。しかし、1つだけで、他の楽器がいないので辞めた。

 大きなスーパーの食品売り場をうろうろした。通路が広いので通りやすい。
ユニオンストリートの露店

 もう1つのライブを聞くために、フェリーヒル・パリッシュ・チャーチに向かう。地図を忘れてきたので、勘を便りに歩く。ユニオン・ストリートでは日曜で閉まっている店が多いが、露店がいっぱい出ており、歩行者天国になっている。日本の祭りの出店とよく似ている。たこ焼きや甘栗の匂いではなく、チーズやガーリックの色々な食べ物の匂いがした。人ごみに混じって日本語が聞こえた。旅行者かダンサーか?野外ライブもあり、若いロックのバンドに人だかりが出来ていた。

 うろうろしていると、いつの間にか初日のホテルの前に出てきた。このままボン・アコード・ストリートを真直ぐ行けば目的の教会に着く筈だ。今日は初めての道をたくさん歩いたが、自力で何とか到着した。ちょうどバンドの人たちが到着したところで、サックスを抱えた人に確認すると間違いなかった。料金や時間の事を尋ねると神父さんを呼んできた。無料で7:30からだと言う。近所にレストランはないかと尋ねると、教会の中で一緒に食べようと言う。これは、さすがにお断りして、近くの大きな公園のカフェでサンドイッチとコーヒーを買った。チーズだらけの生のピザ・トーストを焼かずに食べたような味で、不味かった。神父さんはチキンを一緒に食べようと言ってくれたのにもったいないことをした。
公園の入り口

 ここは巨大な公園で、犬の散歩や、フリスビーをする人や、ただゴロンとする人やいろいろだ。

 中に温室のようなフラワーセンターがあり、とても静かだ。ところどころにある小さな池には、金魚が泳いでいる。常温淡水で飼える美しい魚と言うと世界的に金魚が主流なのだろうか。宿の近くの熱帯魚屋さんにも金魚がいた。すずめに良く似た鳥がベンチに腰掛けている私に、動かなければ私に10cm位まで何度も近づいてくる。金魚とすずめがそばに居ると、ここが何処なのか解らなくなる。

 教会に戻ると神父さんが外に居た。食事は出来たかと聞いて中へ案内してくれた。中は広く天井が高い。大きなステンドグラスが何種類もある。正面の特に大きいのを撮影しようとすると、待ってくれと言うので撮影禁止かと思ったら、照明を付けてくれた。ライトアップされたステンドグラスは非常に美しかった。二階に案内されて、この教会の説明を長々としてくれた。2つの教会を合併させてこの教会を造ったらしい。
 
 珈琲を勧められたがお断りして2階最前席に陣取った。場内は3割ぐらいの入りで、その9割は老人である。隣に座ったお爺さんは親切に話し掛けてきて、ドロップをくれた。むかし、バスーンを吹いていたらしい。神父さんもこのお爺さんも、私がソニー・ロリンズのジャパン・ツアーのTシャツを着ていたので、日本からの旅行者でジャズ・ファンであると解ったようだ。


コーラス・グループとサックス・アンサンブル

 19:30 黒いドレスの8人の20歳位の女の子がステージに並んだ。綺麗な声でコーラスを無伴奏で始めた。シーンと静寂した空間に細い天使のような声が響いた。4〜5曲歌って次のサックス・アンサンブルの準備を兼ねて休憩があった。隣のお爺さんが何処からか紅茶を持って来てくれた。

 ロンドンから来たサックス・アンサンブルの演奏が始まる。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンが各2本、ピアノと電気ベース。大学生のようだ。このようなアンサンブルではアレンジが命だが、自分達で立派にこなしている。

 みんな若いのにストレートによく楽器を鳴らしている。同系等の楽器が並ぶアンサンブルでは、録音で聞くと退屈だが、ライブだと、誰が今どのパートを演奏しているのか目と耳で確かめられるので楽しめる。4〜5曲やって終わってしまったが、もう少し聞きたかった。

 隣のお爺さんと神父さんにお礼を言って外に出た。帰り道を中年の夫婦に尋ねると、車で送ってくれると言う。この教会で会った人は皆親切である。旅行者にとって、よそ者扱いされるのは覚悟の上だが、このような親切は非常にありがたい。娘がバレエのレッスンをしているキャンパスや、一緒に音楽を楽しむ教会など、同じ目的を持った仲間が集まる場所では、他人には警戒しなければいけないという意識よりも、親切にしなければいけないという意識の方が強いようだ。
 親切と見せかけて騙す人もいるし、親切を逆手にとって騙す人もいる。時には、親切を断ったり、敢えて親切にしない勇気も大切だ。ユニオン・ストリートでは生意気な若者にも何度も会ったし、座って物乞いする若者も多い(老人はいない)。この場合は親切に甘えて、送っていただき、途中でいろいろな話をして良い思い出になった。

いろいろな種類のライブを聞き、たくさんの親切にも会いました。
明日はいよいよ骸骨人形の店に思い出の記念品を買いに出かけます。
さて、一体何を買うのでしょうか?
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